地図情報と拡張現実感を用いた位置依存情報オーサリングシステム

目的アプローチ評価実験実験結果考察発表文献連絡先

<目的>

拡張現実感(AR)を利用したヒューマンナビゲーションなど位置に依存した情報提供サービスを実現する上で, ユーザに提示する位置依存情報(コンテンツ)を管理するためのオーサリングシステムの必要性が増している.
本研究では,地図情報を利用したフェーズとモバイルARシステムを利用したフェーズを併用してオーサリングを行う事で, コンテンツの管理者(オーサ)の意図した提示位置・姿勢でコンテンツを効率的に配置可能なオーサリングシステムの構築を 目的とする.

キーワード:拡張現実感,オーサリング,位置依存情報,地図情報

ARを利用した位置依存情報提示システムとは

ネットワークを介して観光案内等の位置依存情報を取得し,ARを利用してユーザに提示を行うシステムである.


ARを利用した位置依存情報提示システムの概要 (画像をクリックでユーザに提示される映像再生)


オーサリングとは

一般的には,「文字や画像、音声、動画といったデータを編集して一本のソフトウェアを作ること(It用語辞典より)」
本研究で述べるオーサリングとは,「コンテンツと提示する位置・姿勢情報の関連付けを行うこと


オーサリングシステムの概要


<アプローチ>

本研究では,地図情報を利用したフェーズ(第1フェーズ)とモバイルARシステムを利用したフェーズ(第2フェーズ) を併用してオーサリングを行う.


本システムの概要

第1フェーズ

第1フェーズである地図情報を利用したオーサリングフェーズでは,通常のPCを利用するためキーボードやマウスによる操作が 可能であり,環境の大局的な俯瞰および広域環境への多数のコンテンツの追加・修正・削除を目的とする.


第1フェーズのインタフェース (画像をクリックでmpeg再生)

第2フェーズ

第2フェーズであるモバイルARシステムを利用したオーサリングフェーズでは,ARを利用して提示されるコンテンツを見ながら コンテンツの位置・姿勢を確認することで,現実環境と地図との不一致による提示位置・姿勢のずれや,樹木等の地図にないオブジェクト による遮蔽に対応を目的とする.


第2フェーズの位置・姿勢修正インタフェース (画像をクリックでmpeg再生)


第2フェーズの複数視点からのコンテンツの修正インタフェース (画像をクリックでmpeg再生)


<評価実験>
本実験は,被験者に本システムを用いてコンテンツのオーサリングを行ってもらい,アンケート形式の主観評価により, 本システムの有用性を評価する.また,第2フェーズにおいて3種類のインタフェースを用いてオーサリングを行うことで 各インタフェースの操作性の評価を行う.
なお,被験者は計算機の操作に慣れ,ARについての知識のある学生6名により行った.

評価内容
(1) 第1フェーズの操作性
(2) 第1フェーズの必要性
(3) 第1フェーズ終了後,現実環境でのコンテンツの提示位置・姿勢の正しさ
(4) 第2フェーズの位置修正インタフェースの操作性
   (4-1) 姿勢センサを利用した操作のみを有するインタフェース(センサインタフェース)
   (4-2) ボタンを利用した操作のみを有するインタフェース(ボタンインタフェース)
   (4-3) 姿勢センサとボタンの両方の操作を有するインタフェース(ハイブリッドインタフェース)
(5) 第2フェーズの姿勢修正インタフェースの操作性
(6) 複数視点からのコンテンツの提示機能の必要性
(7) 第2フェーズの必要性
(8) システムの有用性

<実験結果>

各結果の表
被験者名(1)(2)(3) (4-1)(4-2)(4-3) (5)(6)(7)(8)
被験者A454445 3555
被験者B554445 4455
被験者C443244 3553
被験者D444434 4544
被験者E554545 5455
被験者F443233 3243
平均4.34.53.73.53.74.3 3.74.24.74.2


各結果のグラフ

評価を5段階で解答してもらい,5が最も評価が高く,1が最も評価が低い.

<考察>
・第1フェーズの操作性・必要性共に高い評価が得られた.
・第1フェーズ終了後,コンテンツは被験者の意図した提示位置・姿勢とは違っていたが容易に修正可能な範囲内であった.
・第2フェーズの位置修正インタフェースは,ハイブリッドインタフェースが最も高い評価が得られた.
・第2フェーズの姿勢修正インタフェースは,コンテンツの回転方向をオーサに提示する必要があった.
・複数視点からのコンテンツの提示機能は,詳細に提示位置・姿勢の設定を行うためには必要であるという結果が得られた.
・第2フェーズの必要性は,高い評価が得られた.
・本システムは,第1フェーズと第2フェーズを併用してオーサリングを行うことで,従来の地図情報とARを個々に利用したシステムより有用であることが確認された.

<発表文献>
伊東 大輔, 天目 隆平, 神原 誠之, 横矢 直和:
"拡張現実感技術を用いた位置依存情報のオーサリング",
日本バーチャルリアリティ学会第10回記念大会論文集, pp. 93-94, Sep. 2005. (pdf)

伊東 大輔, 天目 隆平, 神原 誠之, 横矢 直和:
"地図情報と拡張現実感を用いた位置依存情報のオーサリング",
電子情報通信学会 技術研究報告, MVE2005-56, Jan. 2006. (pdf)

伊東 大輔:
"地図情報と拡張現実感を用いた位置依存情報オーサリングシステム",
奈良先端科学技術大学院大学 修士論文 NAIST-IS-MT0451010, March 2005. (pdf)

<連絡先>
奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科視覚情報メディア講座