研究紹介:視点とオブジェクトの位置関係を考慮した
シャドウマップの動的生成法


(1) シャドウマップ法
リアルタイムに影を描画するアルゴリズムは現在まで多く研究されており、その1つにシャドウマップ法がある。シャドウマップ法は、シーンの幾何学的計算を必要としないにもかかわらず、セルフシャドウも含めた正確な影が描画できるという利点を持つ。そのため、 ゲーム等のリアルタイムアプリケーションを中心に広く利用されている。しかし、 視点と光源の位置関係によっては、影の境界にエイリアシングが発生するという問題点がある。


(2) エイリアシングの原因
エイリアシングが発生する主な原因のひとつとして、シャドウマップの生成過程があげられる。下図に示すように、シャドウマップ法は、光源側のビューボリュームが視点からのビューボリューム、あるいはシーン全体を包含できるように、光源側の射影行列を決定する。しかしこの場合、視点が動いて見えているシーンが変ると、オブジェクトが描画されない領域もシャドウマップの投影対象となる可能性が生じ、個々のオブジェクトに割り当てられるシャドウマップの解像度が低くなってしまう。


(3) 視点とオブジェクトの位置関係を考慮したシャドウマップの動的生成

そこで


視点側のビューボリューム内に存在するオブジェクトのみを(上図参照)


境界球で包含する(上図参照)


その境界球を光源側に投影する(上図参照)
(4) 実験結果

通常のシャドウマップ法のレンダリング結果

通常のシャドウマップ法に提案手法を適用したレンダリング結果

(5) 本研究のポイント    

理論上視点側から見えている領域のみをシャドウマップの投影範囲とすることは可能である
しかし、まともにピクセルごとに計算すると処理速度がかなり遅くなるという課題が残る
本研究では、実際にレンダリングを行う前に、フレームごとに頂点単位で可視判定を行うため、精度は少し落ちるものの、処理速度が速いという利点がある
さらに、この可視判定はレンダリングを必要としないため、オブジェクトの特徴を捉えてさえすれば少ないポリゴン数でも精度はそれほど落ちない
近年盛んに研究されている"メッシュ簡略化技術"と併用すればオーバーヘッドを限りなくゼロに近づけることができる(メッシュ簡略化は、DirectXでは関数として利用できる)


*************************************研究業績************************************

研究会

岩尾 友秀, 神原 誠之, 横矢 直和:
"視点とオブジェクトの位置関係を考慮したシャドウマップの動的生成法",
電子情報通信学会 技術研究報告, ITS2004-80, pp. 83-88, Feb. 2005.

全国大会

岩尾 友秀, 神原 誠之, 横矢 直和:
"視点と光源の位置関係を考慮したシャドウマップの動的生成手法",
情報処理学会関西支部支部大会講演論文集, pp. 45-48, Oct. 2004.

修士論文

岩尾 友秀:
"視点とオブジェクトのの位置関係を考慮したシャドウマップの動的生成法",
奈良先端科学技術大学院大学修士論文 NAIST-IS-MT0351016 , Mar 2005.

受賞

・電子情報通信学会, パターン認識・メディア理解研究会第7回アルゴリズムコンテスト入賞

・平成16年度情報処理学会関西支部学生奨励賞