近年、利用者がITを意識しない将来のIT環境として、情報技術が生活空間に溶け込む「アンビエント情報社会」と環境自体が知能体として振舞う「環境知能」が注目されている。本事業では、この2つの意味を併せ持つ概念として『アンビエント環境知能』を提唱する。これはまさに、戦略重点科学技術「人の能力を補い生活を支援するユビキタスネットワーク利用技術」の開発によるイノベーションで拓く2025年の日本の姿として展望された「安全・安心な社会」である(長期戦略指針「イノベーション25」~未来をつくる、無限の可能性への挑戦~、平成19年6月1日閣議決定)。このような社会の実現には、大規模センサネットワーク環境下で、構造化された環境情報を人間の五感に訴えて実社会空間に提示することによって日常生活を支援する「アンビエント環境知能」の研究を早急に立ち上げ、実証的な研究推進を図る必要がある。ポスト・ユビキタスネットワーク社会を見越して、ネットワーク接続された大量のカメラ・センサが埋め込まれた実社会空間の情報を収集・処理し、構造化された環境情報を提示するコンピューティングエンティティが遍在する知的環境(アンビエント環境知能)を構築するために、視覚・聴覚・言語・行動メディアからなる複合メディアと生命的自律型環境ネットワークに関する実証的研究を推進する。これによって新しい学問領域を創出する。
事業統括者
奈良先端科学技術大学院大学 理事・副学長
情報科学研究科 教授(兼務)
横矢 直和